暇つぶしなコラム

2020/05/13

言うてもね
店主にも『師匠』みたいなのはいるんです

業界入って3年だか5年だか
経った頃ですが
当時70歳で
家業でメガネ店をやってて
12歳で父親を亡くして
ずっとメガネ店っていう爺

教えて貰ったというより
『時の総理にメガネを作った』だの
『昔600万売り上げた』だの
過去の栄光をくどくど聞かされ
毎日のように喧嘩してた
そういう日々

店主の決まって言うことは
『50年だか30年だか知らないけど
昔のどうでも良い自慢なんぞ
興味もない
今、ここに来る、お客さんの事を
ちゃんと見て、ちゃんと作れ』

そうです
反面教師です
作るメガネは年のせいでガッタガタ
隙間あったり、くるくる回転したり
ろくなメガネなんて一つも作れない
ただ当時の店主は
外を知らないものですから
自分の構築した理論が
正しいのか全くの素っ頓狂なのか
解っていません
その爺は眼科勤務していたこともあり
検査談義というか理論交換をしてました
教えて貰ったことは何一つありません
技術を盗み見たみたいなこともありません
全て店主のやってることでした
ほとんどのことにおいて
店主の下位互換

高いレンズを販売しておきながら
注文は安いレンズ
『注文間違いだ』
と指摘すると
『お客にバレないでしょ
高いレンズを安く売ると会社から怒られるけど安いレンズを高く売る分には逆に会社の貢献
こういうのは昔からどこでもやってる』
まぁ、理想と正義に生きる店主は
納得する訳もありませんよね

メガネ店は年を取っている方が
信用されます
お客が勝手に腕があると思い込みます
それを知っている店主は
若いから信用され辛い
だからこそ愚直なほど真っ当に

自分で販売したメガネだけは
自分の担当したお客だけは守ると
そういうことで
爺が販売したメガネには触らない
悪事には一切手を染めない
自分の販売したメガネには絶対に
触らせない
そう爺に明言しました

爺『君と話していると自分が凄く悪人の様に思えてくる』
店主『悪人じゃなかったら何人だと思い込んでるんですか?』

喧嘩が酷かったので
移動させられましたが
数年後、爺が辞める際こういう会話をしました(笑)

15年前も
今も
店主は変わらず同じ思想信念
爺という
典型的なメガネ店思考の人間を
徹底的に嫌悪していますので
他と同じような店になることはないでしょう

爺の様になるくらいなら
死を選ぶ

昔ながらのメガネ店 = 爺の様な店
そう思ってますし
メガネを見る限り
そうだとしか思えません